酒粕の発酵過程を徹底解説。日本酒から生まれる栄養豊富な副産物とは?

日本酒の製造過程で生まれる「酒粕」は、昔から日本の食文化に深く根付いた発酵食品です。酒粕は栄養価が非常に高く、料理や健康食品、さらにはスキンケア製品にまで幅広く利用されています。しかし、酒粕がどのようにして作られ、その発酵過程でどのような栄養素が生まれるのかについては、あまり知られていないかもしれません。そこで今回は酒粕ができるまでの過程をご紹介。酒粕がどのようにしてつくられるのか考えながら読み進めてみてくださいね。

酒粕とは?—日本酒製造の副産物

酒粕は、日本酒を製造する際にできる副産物です。日本酒は、米、米麹、水を発酵させて作られるお酒で、酒粕はその発酵過程において生み出されます。日本酒の風味や香りをそのまま含み、甘酒や粕汁、漬物などに使用されることが多い酒粕。料理に深いコクと旨味を与えるだけでなく、栄養面でも非常に優れた食材です。

日本酒づくりの過程と副産物の誕生

酒粕が生まれる過程を知るには、日本酒の工程を理解する必要があります。この過程を理解することで、酒粕に含まれる豊富な栄養素やその特性を知ることができます

1. 原料の処理と仕込み

日本酒の製造は、まず原料となる米を精米することから始まります。精米とは、米の外側の部分を削り取り、中心部分のでんぷんを残す工程です。この削り具合(精米歩合)は日本酒の品質に大きく影響し、削る量が多いほど透明感のある上品な味わいの酒になります。

次に、精米した米を水に浸し、蒸します。蒸し米は麹造り、酒母(もと)、もろみの仕込みに使われます。麹造りは「麹菌」を加えて発酵させ、「米麹(こめこうじ)」を作ること。米麹は、酵素の力で米のデンプンを糖に、たんぱく質をアミノ酸に分解する役割を持っており、最終的な日本酒の風味や旨味を決定づける重要な要素です。

2. 酒母の準備

米麹ができたら、それを蒸した米と水、そして酵母と混ぜ合わせて「酒母(しゅぼ)」を作ります。一定期間置く過程で、酵母が米麹の糖分を分解し、アルコールと炭酸ガスを生成することにより、発酵が進みます。

3. 段仕込み

日本酒の仕込みでは、三段階に分けて行う「三段仕込み」という方法が使われます。初日は「初添え」と呼ばれ、蒸し米、米麹、水を加えて発酵の準備を整えます。二日目は「踊り」と言い、仕込みを行わず、酵母が安定して増えるための休息期間を設けます。三日目に二回目の仕込み「仲添え」を行い、酵母の活動をさらに活発にします。四日目には三回目の仕込み「留添え」を行い、全体の仕込みが完了します。

この三段仕込みの方法は、発酵の進行を安定させ、温度管理をしやすくするとともに、雑菌の繁殖を抑える効果があります。そのため、酵母の増殖を理想的な状態に保ち、もろみの香りや風味をしっかり引き出しながら、バランスの良い日本酒を造り上げることができるのです。

4. もろみの発酵

酒母に蒸米、米麹、水を加えて「もろみ」を仕込みます。発酵が進むにつれて、米麹から分解された糖分が酵母の働きでアルコールに変わり、日本酒のアルコール度数が高まっていきます。

5. 酒粕の誕生

この発酵期間は20日ほどにわたり、発酵が完了したもろみは、日本酒と固形物に分けられます。ここで、もろみを圧搾することで得られる液体部分が「日本酒」で、残った固形物が「酒粕」です。

4. 酒粕の種類と特徴

搾られたばかりの酒粕は、まだ柔らかく、独特の風味が強いのが特徴です。この状態の酒粕を「生酒粕」と呼び、風味が豊かで、料理や漬物などに適しています。もろみの搾り方によって、酒粕の形状や質感は異なり、「板粕(いたかす)」や「ばら粕(ばらかす)」といった種類に分類されます。

  • 板粕:圧搾した酒粕を板状に整えたもので、乾燥させた形状。漬物の漬け床などに使いやすい。
  • ばら粕:搾りたての柔らかい状態の酒粕。甘酒や粕汁などにそのまま使用できる。
  • 練り粕:搾りたての酒粕をさらに熟成させ、ペースト状に練り上げたもの。滑らかで、発酵調味料や漬け床として用いられる。

酒粕に含まれる豊富な栄養成分とその健康効果

酒粕には、アルコール発酵過程で生成されるさまざまな成分が豊富に含まれています。これらの栄養成分は、健康維持や美容効果に役立つとされています。

  • レジスタントプロテイン
    レジスタントプロテインは、胃で消化されずに腸まで届き、食物繊維のような働きを持つ難消化性タンパク質です。脂肪と結びつき、コレステロールや胆汁酸を吸着して体外に排出する効果があり、コレステロール値の低下や腸内環境の改善、ダイエット効果が期待されます。酒粕や大豆製品などに含まれており、美容や健康維持に役立つ成分です。
  • ビタミンB群
    ビタミンB1、B2、B6、ナイアシン、葉酸などのビタミンB群が豊富に含まれ、エネルギー代謝や細胞の修復を助け、疲労回復や美肌効果をもたらします。
  • 食物繊維
    酒粕には、不溶性食物繊維が多く含まれており、腸内環境を整え、便通を促進する効果があります。また、食物繊維は体内の有害物質を排出するデトックス効果も期待され、健康維持に役立ちます。
  • 抗酸化成分(フェルラ酸、コウジ酸)
    酒粕に含まれるフェルラ酸やコウジ酸は、体内で発生する活性酸素を抑え、細胞の酸化を防ぐ抗酸化作用を持ちます。これにより、老化防止や肌のハリを保つ効果が期待されます。

酒粕を日常に取り入れる活用法

酒粕を日常に取り入れるには、料理や飲み物に加えるのがおすすめです。例えば、粕汁や甘酒、スムージーに混ぜると、酒粕の栄養を手軽に摂取できます。また、酒粕を使ったスイーツやパン作りにも応用可能です。さらに、酒粕パックを使ったスキンケアも効果的です。毎日の食事や美容ケアに少しずつ取り入れることで、酒粕の健康効果を日常的に取り入れられます。

酒粕を乳酸菌で発酵させた100%植物性のヨーグルト

とはいえ、毎日酒粕を食べ続けるのは難しいものですよね。そんなときにおすすめなのが、乳酸菌発酵酒粕ヨーグルト「JOGURT」です。酒粕をもう一度乳酸菌で発酵させた100%植物性のヨーグルトで、ハチミツやジャムと一緒に食べるのがおすすめ。少し酸味のある味わいなのでバナナなどの甘みのあるフルーツと合わせても美味しく召し上がれます。お試しサイズもあるので、気になる人は下のリンクからチェックをしてみてください。

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