酒粕に含まれる菌ってどんな菌?日本酒作りに欠かせない酵母と麹菌の話

酒粕は日本酒を製造する過程で生まれる発酵食品で、栄養価が高く、さまざまな料理や健康食品として活用されています。酒粕にはアルコール分やタンパク質、ビタミン類が豊富に含まれていることは知られていますが、実は「菌」も存在しています。この記事では、酒粕にどのような菌が含まれているのか、菌の特徴や健康への影響について詳しく解説していきます。

酒粕に含まれる菌の種類とは?

酒粕には、日本酒の発酵に関わる多種多様な菌が含まれています。主な菌の種類は以下の通りです。

  1. 清酒酵母
     日本酒の発酵に使用される酵母は「S.セレビシエ(サッカロマイセスセレビシエ)」という菌類で、糖を分解してアルコールと二酸化炭素を生成します。ワインやビールにも用いられますが、日本酒用は「清酒酵母」と呼ばれます。日本酒の主原料である米には糖が含まれていないため、麹菌(A.オリゼー)の酵素でデンプンを糖に変えた後に、清酒酵母がアルコール発酵を行うことで日本酒が生まれます。
  2. 麹菌
     麹菌は、麹を作るための糸状菌で、湿度の高い東アジアや東南アジアに生息するカビの一種です。特に日本の麹菌は「コウジカビ」と呼ばれ、たんぱく質をアミノ酸に分解する「プロテアーゼ」、でんぷんを糖に変える「アミラーゼ」、脂質を分解する「リパーゼ」など多くの酵素を生成します。これらの酵素は、素材を柔らかくし、発酵食品の旨みや甘味を引き出す役割を持っています。日本では「国菌」としても認定されています。

それぞれの菌の働き

酒粕に含まれる菌は、健康に良い影響を与えることが多く、日常的に摂取することでさまざまな効果が期待されます。

  • 清酒酵母
    清酒酵母は、米の糖分を餌にしてアルコールと炭酸ガスを生成することで、アルコール発酵を行います。お米のデンプンは麹菌の酵素で糖分に分解され、その糖分を酵母がアルコールに変えることで日本酒が生まれます。また、酵母は発酵中に「カプロン酸エチル」や「酢酸イソアミル」といった香り成分も生成し、リンゴやバナナのような日本酒特有の豊かな香りを生み出す役割も担っています。
  • 麹菌
    麹菌が作り出す酵素は、食べ物中のデンプンやタンパク質を分解し、消化・吸収を助ける働きを持っています。また、酵素によって生成されるオリゴ糖は、腸内の善玉菌を活性化し、腸内環境を整える効果もあります。さらに、麹菌はビタミンやミネラルなどの栄養素を生み出し、疲労回復や美容の促進にも寄与するとされ、健康維持に役立つ存在です。

酒粕の菌を活かす調理方法

酒粕に含まれる菌の効果を活かすためには、過度な加熱を避けることがポイントです。高温で加熱すると、菌が死滅し、効果が減少することがあります。以下の調理方法を参考に、酒粕をうまく取り入れてみましょう。

  • 漬物の材料として使用
     酒粕を漬物床にして野菜を漬け込むことで、発酵が進み、乳酸菌や酵母菌の活動が活発になります。酒粕漬けは、食材の保存性を高めるだけでなく、味わい深い漬物が楽しめる一品です。

酒粕の菌を取り入れて健康生活を

酒粕は、栄養価が高いだけでなく、酵母菌や乳酸菌、麹菌などの有用な菌を含む発酵食品です。これらの菌は、腸内環境の改善や免疫力向上、美肌効果など、さまざまな健康効果をもたらします。酒粕を日常的に摂取し、発酵食品ならではの菌の力を活かして、健康的な生活を送ってみてはいかがでしょうか。普段の料理や飲み物に取り入れて、その豊かな風味とともに、身体に良い成分を取り入れてみましょう。

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