酒粕を使った粕汁には微量のアルコールが含まれています。アルコールの代謝には肝臓が重要な役割を果たしますが、体質によっては少量のアルコールでも不快な症状が現れることがあります。日本人の約40%はALDH2(アルデヒド脱水素酵素2)の活性が弱く、さらに約4%はこの酵素がまったく働かない体質であることがわかっています。
アルコールの代謝と体への影響
アルコールが体内に入ると、まず肝臓で「アセトアルデヒド」という有毒な物質に分解されます。このアセトアルデヒドは、顔面紅潮、頭痛、吐き気、頻脈などの不快な症状を引き起こします。アセトアルデヒドを分解するのが、「ALDH2(アルデヒド脱水素酵素2)」です。ですが、日本人はALDH2が低い人が多いという結果が出ています。
日本人に多いALDH2の低活性型と不活性型
- 低活性型(約40%の人が該当):
このタイプの人はALDH2の働きが弱いため、少量のアルコールでもアセトアルデヒドが体内に蓄積しやすく、酔いやすく回復も遅くなります。これらの人は顔が赤くなりやすいといわれています。 - 不活性型(約4%の人が該当):
不活性型の人はALDH2がまったく働かないため、少量のアルコールでも強い不快感を覚えます。このため、無理な飲酒は危険です。
これらの体質は親からの遺伝で決まるため、後天的に変わることはありません。自分の体質を理解し、無理なくアルコールと付き合うことが大切です。
アルコール耐性が低い人向けの注意点
- 低活性型
このタイプの人は粕汁を飲んだときにあらわれる症状を自分で注意深く観察するようにしてください。それで何も出なければいいですが、症状が出るようなら粕汁の摂取は控えたほうがよいでしょう。 - 不活性型
このタイプの場合、少しのアルコールでも体が拒否反応を示す場合があります。粕汁はできるだけ控えるようにしましょう。 - 周囲への配慮
アルコール耐性が弱い人に飲酒や粕汁の摂取を無理強いしないようにしましょう。自分のペースで楽しむことが大切です。
粕汁のアルコール感を和らげる方法
- 十分な加熱でアルコールを飛ばす
酒粕に含まれるアルコールは加熱によって揮発しますが、完全に抜くことは難しいのが現状です。先に酒粕を蒸してアルコールをできるだけ飛ばしてから粕汁に入れるのがおすすめです。 - 豆乳や牛乳を加えてまろやかに
粕汁に豆乳や牛乳を加えると、酒粕の風味がマイルドになり、アルコール感も抑えられます。さらに、味噌や香味野菜を使って風味を調えると、アルコールが目立たなくなります。 - 代替材料の使用
アルコールに敏感な方は、酒粕の代わりに味噌や他の発酵食品を使ったスープを検討するのも良いでしょう。これにより、粕汁に近い風味を楽しみながら安心して食事ができます。
まとめ
粕汁は栄養豊富で体を温めてくれる料理ですが、アルコール耐性が低い人にとっては注意が必要です。ALDH2の低活性型や不活性型の人は少量のアルコールでも不快な症状が出るので注意が必要です。アルコールに対する個々の体質を理解し、無理なく楽しむようにしましょう。
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